「はじめて鎌倉に行くけど、どこへ行けばいいの?」と迷っている人向けに、主な観光スポット6カ所をめぐる「鎌倉観光のゴールデンルート」を案内します。円覚寺、建長寺、銭洗弁財天、大仏、長谷観音、鶴岡八幡宮の順にめぐります。
東京・横浜方面から横須賀線に乗ってくると、鎌倉駅の一つ手前が北鎌倉駅。北鎌倉エリアは禅寺が多く、長閑(のどか) な雰囲気が残っています。
まずは、駅から徒歩1分の円覚寺に向かいます。
円覚寺は「鎌倉五山」という禅宗(臨済宗)の寺院を格付けする制度で、第二位に位置づけられています。 正式名称は、瑞鹿山円覚興聖禅寺といいます。
創建は弘安5(1282)年。二度の元寇を戦い抜いた執権として知られる北条時宗が、戦いで亡くなった日本とモンゴル両軍の兵士の菩提を弔うために建立しました。
境内には「禅宗様」という様式で建てられた美しい建物が建ち並んでいます。
円覚寺を出たら、鎌倉方面に向かって横須賀線の線路沿いを歩いて行きましょう。
途中、小さな橋を渡った先で左に道が分かれます。この道の先には、梅雨時のアジサイが美しいことで知られる明月院があります。
分かれ道の少し先の踏切のところで県道と合流します。ちょっと分かりづらいですが、この県道との合流地点にあるお蕎麦屋さんの店先に、陰陽師の安倍晴明をまつった石碑があります。
このまま県道を10分ほど進むと、建長寺に到着します。
建長寺は、「鎌倉五山」第一位。正式名称は、「巨福山建長興国禅寺(こふくさんけんちょうこうこくぜんじ)」といいます。建長5(1253)年に、我が国初の禅の専門道場として創建されました。
江戸時代に東京芝の増上寺から移築したという仏殿内には本尊の地蔵菩薩像がまつられています。禅寺でお地蔵様が本尊というのはめずらしいですが、もともと、建長寺が建てられた場所には処刑場があり、処刑された人々を供養する、お地蔵様をご本尊とするお寺があったことと関係があるようです。
もし時間に余裕があるなら、ぜひ、建長寺の裏山にも登ってみてください。
裏山の中腹には建長寺の鎮守である「半僧坊(はんそうぼう)」がまつられており、さらに石段を登っていくと「勝上けん(しょうじょうけん)展望台」という大変見晴らしのいい場所があります。この展望台からは、建長寺の大きな山門、仏殿、法堂(はっとう)といった建物が小さく見えます。
建長寺を出たら、県道をはさんで反対側にある円応寺という小さなお寺にも立ち寄ってみましょう。
建長寺の塔頭(たっちゅう)のひとつである円応寺は、「閻魔堂」「十王堂」とも呼ばれ、亡者が冥界において出会う「十王」をまつっています。なかでも、本尊の閻魔大王座像は、鎌倉時代の大仏師・運慶の作と伝わり、その笑っているような表情から「笑い閻魔」などの呼び名があります。ちなみに、閻魔大王は地蔵菩薩の化身であるとされています。
県道を少し北鎌倉駅のほうへ引き返すと、長寿寺というお寺が道の左手にあります。この長寿寺の脇道は、「亀ヶ谷切通し」の道と呼ばれています。
鎌倉は、三方を山に囲まれ、南は海に面する天然の要害の地です。このことは、源頼朝が鎌倉を武家政権の本拠地として選んだ理由のひとつになっています。
しかし、やがて鎌倉が都市として発展し、人や物の往来が盛んになってくると、周囲の山々が交通の妨げになって来ました。そこで、13世紀前半、鎌倉幕府は山の尾根を人工的に開削し、「鎌倉七口」と呼ばれる7ヶ所の「切通し」を整備しました。「亀ヶ谷切通し」は、その中の一つです。
「亀ヶ谷切通し」の道は、坂が急なので、登ってきた亀が途中でひっくり返ったという「亀返坂(かめかえりざか)」が語原という面白い話が伝わっています。
がんばって坂を越えると、横須賀線の線路が見えるので、踏切を渡りましょう。踏切の先の道を線路に沿って鎌倉駅のほうに向かって行くと、小さな赤い道標が「銭洗弁財天」への道を示しています。
この銭洗弁財天に向かう道の途中には、2017年にオープンした「鎌倉歴史文化交流館」や、モチモチの白玉が人気の「茶房 雲母(きらら)」などがあります。
銭洗弁財天のすぐ近くには、源頼朝の出世に力を貸したことから、別名「出世稲荷」と呼ばれる佐助稲荷神社もあります。
京都の伏見稲荷大社のような林立する朱色の鳥居の参道を抜けると、「まるで、隠れ里のようだ」ともいわれる幽玄な雰囲気の境内に到着。神様の使いである多くのキツネたちが出迎えてくれます。
銭洗弁財天、佐助稲荷から大仏様のいらっしゃる高徳院までは、住宅地の中を歩いて、20分ほど。あれだけ大きな大仏様なのに、道路からはまったく姿が見えないのが不思議です。
鎌倉のシンボル・鎌倉大仏は、鎌倉時代の中頃に造立されたとされますが、詳しいことは分かっていません。最初は大仏殿がありましたが、大風で倒れたり、地震の津波で破壊されたりして、結局、今のような露座(ろざ 屋外に座っていること)の大仏となりました。
ちなみに、大仏様は数ある鎌倉の仏像の中で、唯一、国宝の指定を受けています。また、大仏様の体の中に入る「胎内拝観」も可能ですので、ぜひ体験してみてください。
高徳院から土産物屋が軒を連ねる商店街を5分ほど歩いて行くと、長谷寺の門前にたどり着きます。
本尊の長谷観音は、像高9.18mと、歴史ある木造の仏像としては日本最大級。境内からの海の眺望が素晴らしく、また、アジサイや秋の紅葉の名所としても知られています。ちなみに、紅葉の季節に夜間ライトアップを行うのは、鎌倉市内では長谷寺が唯一です。
大仏と長谷観音のお参りを終えたら、長谷駅から江ノ電に乗って鎌倉駅へ移動。鎌倉駅の東口から若宮大路または小町通りを歩いて、鶴岡八幡宮を目指します。若宮大路の道路中央には「段葛」という、鎌倉時代に造られた鶴岡八幡宮の正式な参道があります。
鎌倉駅から鶴岡八幡宮までは、徒歩約10分です。
鶴岡八幡宮は、鎌倉を代表する神社です。八幡神は軍(いくさ)の神であり、鎌倉を治めた源氏の氏神でもあったために、大事にされてきた歴史があります。
境内では、春の「鎌倉まつり」、秋の例大祭をはじめ、年間を通じて様々な祭事・イベントが行われます。また、花の名所としても知られ、正月に咲く冬牡丹、春の桜、フジ、ツツジ、夏のハスなどが源平池の周囲で見られます。
鶴岡八幡宮境内では、2016年3月に閉館した旧神奈川県立近代美術館の建物を利用して、2019年6月に、「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」がオープン。映像などを活用して、鎌倉の歴史や文化を知る場になっています。ぜひ、立ち寄ってみてください。
徒歩区間の距離 | 約7.0km(北鎌倉駅~建長寺~銭洗弁財天~大仏~長谷駅/鎌倉駅~鶴岡八幡宮) |
---|---|
コース所要時間 | 4~5時間 |
注意点など |
|