7月から8月上旬くらいの鎌倉のおすすめ散歩コースをご案内します。この時期は暑さで長時間歩くのはキツいですよね。そこで、鎌倉駅周辺を中心に、夏の花がきれいで、涼しげな雰囲気の神社やお寺を2~3時間くらいでめぐるコースをおすすめします。
鎌倉駅西口からスタート。スーパー「紀伊國屋」のある角を右手に進みます。
この道は、「今小路」と呼ばれています。この道を500メートルほど進むと、右手に寿福寺というお寺がありますが、このお寺は普段は非公開。ゴールデンウィークなど特別なときだけ、ご本尊の公開が行われます。
寿福寺のすぐ隣にあるのが、鎌倉で唯一の尼寺の英勝寺。徳川家康の側室のお勝の方(英勝院)が、家康の死後に創建したお寺です。
鎌倉で竹林といえば報国寺が有名ですが、英勝寺にも竹林の散歩道があります。
7月の上旬に英勝寺を訪れると、アジサイがまだ残っているほか、カサブランカなどの草花が見られます。
英勝寺を出たら、目の前の道を奥へ奥へと進んでいきます。やがて道は、谷戸の最奥にある海蔵寺の門前にたどり着きます。
金槌(カナヅチ)のことを「ゲンノウ」といいますが、海蔵寺は、その名の由来となった源翁(げんのう)禅師が開いたお寺。源翁禅師は、妖怪の「九尾の狐(きゅうびのきつね)」が化けた「殺生石(せっしょうせき)」を退治した伝説で知られます。
海蔵寺は四季折々の花が咲く「花の寺」として知られます。7月に訪れると、赤い番傘のそばに、オレンジ色の凌霄花(ノウゼンカズラ)が花を咲かせています。この時期には、桔梗(キキョウ)なども見られます。
海蔵寺は「花の寺」であるとともに、本堂裏手の心字池庭園や山門前の「鎌倉十井」のひとつ「底脱の井(そこぬけのい)」、さらに境内裏手には「十六の井」などがあり、その寺名のとおり、境内に海のように豊かな水をたたえる「水の寺」でもあります。
「十六の井」は、岩肌の洞穴に縦横四列ずつ十六の穴が並び、滾々(こんこん)と湧く清水を湛えます。この不思議な形の井戸は、決して枯れることがないといいますが、誰が何のために造ったのかなど、詳しいことは分かりません。
海蔵寺から、いったん寿福寺門前まで引き返し、横須賀線の踏切を渡って小径を進みましょう。岩窟(いわや)不動尊、川喜多映画記念館の前を通過し、小町通りを経て、鶴岡八幡宮に到着。
鶴岡八幡宮境内の源平池(源氏池と平家池)では、紅白の蓮(ハス)が見られます。昔、源氏池には源氏の旗色である白蓮、平家池には平家の旗色である紅蓮が植えられたとの言い伝えもありますが、今となってはすっかり混じり合ってしまっていますね。
本覚寺から若宮大路と並行する小町大路(小町通りではありません)側に出ると、滑川(なめりかわ)の流れが見えます。橋を渡り、谷戸の奥へと進むと、妙本寺というお寺があります。
妙本寺は大きなお寺ですが、境内では子ども達が遊んでいたり、スケッチを楽しむ人がいたりと、とてもホンワカとした雰囲気のお寺です。
谷戸の奥は涼しいので、鎌倉時代には、この場所にあった武将の比企(ひき)氏の屋敷に、源頼朝も涼みに来たのだとか。仁王門付近には凌霄花がきれいに咲いています。
最後は、材木座の光明寺まで足を伸ばしてみましょう。妙本寺から光明寺までは歩きで20分ちょっと。大きな山門をくぐると、境内ではネコたちが昼寝をしているなど、のんびりとした時間が流れる海辺の寺院です。
光明寺は、江戸時代には、浄土宗学問所として「関東十八檀林」に選ばれ、また、戦後の昭和21年から昭和25年にかけては、境内で「鎌倉アカデミア」という自由学校が営まれ、いづみたく、鈴木清順、前田武彦らの多くの著名人を輩出するなど、文化発信の拠点でした。
光明寺の庭園の池では、三種類の蓮が見られ、一番奥のほうに咲いているのが、大賀蓮(古代蓮)です。昭和26年に千葉県の遺跡で発掘された、2000年以上も前の蓮の実から発芽・開花したもの。
光明寺裏山の天照山には、展望台が設けられており、「かながわの景勝50選」にも選出されている絶景ポイントですが、夏場は草が茂っていて、あまり眺めがよくないですね。
帰りは、光明寺門前から鎌倉駅方面へ、バスが出ています。
徒歩区間の距離 | 約5.5km(鎌倉駅西口~海蔵寺~鶴岡八幡宮~本覚寺~妙本寺~光明寺) |
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コース所要時間 | 2時間半~3時間 |
注意点など |
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