底脱の井
山門前の「底脱の井」には、鎌倉幕府の御家人・安達泰盛の娘・千代能が参禅した折、この井戸の水を汲むと桶の底が抜けてしまった。この時、心の中にあった煩悩が氷解し、悟りの境地に達したという逸話があります。
千代能が いただく桶の 底ぬけて 水たまらねば 月もやどらじ
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海蔵寺は、室町時代の応永元(1394)年の創建。開山は、源翁禅師(げんのうぜんじ)。
金槌(カナヅチ)のことを「ゲンノウ」といいますが、これは、妖怪の「九尾の狐(きゅうびのきつね)」が化けた「殺生石(せっしょうせき)」を金槌でたたいて退治した、源翁禅師の伝説に由来します。
海蔵寺は四季折々の花が咲く「花の寺」であると同時に、本堂裏手の心字池庭園(非公開)や山門前の「鎌倉十井」のひとつ「底脱の井(そこぬけのい)」、さらに境内裏手には「十六の井」などがあり、その寺名のとおり、境内に海のように豊かな水をたたえる「水の寺」でもあります。
薬師堂に安置されている本尊は「蹄き薬師(なきやくし)」と呼ばれます。
ある時、寺の裏手から悲しげな赤子の泣き声が聞こえてくるので、源翁禅師がたどっていくと、光る墓石の下から聞こえてくるようだった。読経しながら掘り返してみると、薬師如来の面が出てきたので、新たに作った薬師如来像の胎内に納め供養した、というのが蹄き薬師の伝説です。
胸のあたりの扉が開く仕組みになっていて、中に伝説の薬師面が納められています。胎内の薬師面を拝観できるのは、61年に一度とされています。
海蔵寺は、早春の梅にはじまり、夏のノウゼンカズラ、初秋の萩、冬の水仙など、一年中、いつ訪れても四季折々の花を楽しむことができる、鎌倉有数の花の寺として知られます。
海蔵寺の花暦の中でも、とくに美しいのが、初秋の萩。山門を彩るように咲く萩は、まるで、流れ落ちる優美な紫色の滝のようです。朝夕の空気が肌寒く感じ始める9月中旬頃が見頃です。
山門前の「底脱の井」には、鎌倉幕府の御家人・安達泰盛の娘・千代能が参禅した折、この井戸の水を汲むと桶の底が抜けてしまった。この時、心の中にあった煩悩が氷解し、悟りの境地に達したという逸話があります。
千代能が いただく桶の 底ぬけて 水たまらねば 月もやどらじ
民家と岩壁にはさまれた小道を行くと「十六の井」があります。岩肌の洞穴に縦横四列づつ十六の穴が並び、滾々(こんこん)と湧く清水を湛えます。
この不思議な形の井戸は、決して枯れることがないといいますが、誰が何のために造ったのかなど詳しいことは分かりません。
住所:鎌倉市扇ガ谷4-18-8
電話番号:0467-22-3175
拝観料:100円(十六ノ井)
拝観時間:9:30~16:00
アクセス:JR・江ノ島電鉄「鎌倉駅西口」徒歩20分
地図:Google マップ
公式ホームページ:-