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鎌倉のハイキングコースは標高は高い場所でも150m程度ですが、場所によっては滑りやすい岩場などもあります。トレッキングシューズなど歩きやすい服装でお出かけください。

朝比奈ハイキングコース

国指定史跡の雄大な景観「朝比奈切通し」を歩く、峠越えの朝比奈ハイキングコースは、鎌倉と六浦の港をつなぐかつての金沢街道です。ハイキングコースを歩き終えたら、浄土庭園の美しい横浜市金沢区の称名寺へも、ぜひ足を伸ばしてみたいところ。→イラストマップ

天園ハイキングコースの十王岩の展望

鎌倉の奥座敷へ

バスに乗って明王院へ

バスに乗って明王院へ

鎌倉駅東口の5番バス乗り場から京急バス「金沢八景駅」行き、または「鎌倉霊園正門前太刀洗」行きに乗り、「泉水橋」のバス停で下車。その昔、「十二所(じゅうにそ)村」といったこの辺りまで来ると、鎌倉市内でも随分のどかな雰囲気。
バス停から橋を渡ってバス通りを東へ進み、道が二股にわかれたところで左の住宅地の方へ入っていけば、明王院という小さなお寺があります。

明王院境内にオープンした江戸料理の名店

明王院境内にオープンした江戸料理の名店

源氏の血統が三代で途絶えると、鎌倉幕府は京都の九条家から将軍を迎えます。その四代将軍・九条(藤原)頼経が、明王院を建立しました。本尊は五大明王(不動、降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉)ですが、江戸時代の火災により不動明王を残して他の4体は焼けてしまい、不動明王以外の像は、その後創られたもの。
なお、明王院の境内には、2013年に江戸料理の名店「八百善」がオープンしました。

光触寺

光触寺

バス通りに戻り、1停留所歩いて「十二所」バス停へ。酒屋の前の細道を入っていくと、光触寺(こうそくじ)があります。
もとは真言宗の寺でしたが、弘安2(1279)年、全国を行脚し、踊念仏を唱えて民衆の信仰を集めた一遍(いっぺん)上人を開山に迎え、時宗に改めました。本尊の運慶作といわれる「頬焼(ほほやけ)阿弥陀」には、無実の罪をきせられ、頬に焼印を押される男の身代わりに自らの頬を焼かせたという伝説が伝わります。本堂および「頬焼阿弥陀」の拝観は事前予約が必要です。

塩嘗地蔵

塩嘗地蔵

光触寺の近くを通る金沢街道は、かつて、鎌倉と横浜の六浦の港を結び、塩などの物資を運ぶ重要な交易路でした。光触寺境内にまつられる地蔵は、もとは金沢街道の路傍にあり、六浦の塩売りが毎朝この地蔵に初穂の塩をお供えすると、帰りには地蔵が塩を嘗(な)めてしまわれ必ずなくなっていたので、「塩嘗地蔵」の名がつきました。

朝比奈ハイキングコースへ

鎌倉丼

鎌倉丼

光触寺の拝観を終えたら、再度、バス通りに戻り、さらに1つ先の「十二所神社」バス停まで歩き、右手の細道に入っていきます。この道が、朝比奈峠を越える金沢街道の旧道です。
ちなみに、バス停付近にあるそば処「峰本」では、その昔、鎌倉の海で獲れたエビを使った新メニュー「鎌倉丼」も食べられます。

太刀洗水

太刀洗水

はじめは舗装道路ですが、すぐに山道になり、右は崖、左に川を見るという景色が続きます。
しばらく行くと川向こうの崖に、頼朝の命令を受けた梶原景時が、謀反の疑いのかかった有力御家人・上総広常(かずさひろつね)を討った後で、血糊のついた太刀を洗ったという「太刀洗水」が流れ出ています。

三郎の滝

三郎の滝

「太刀洗水」のすぐ先に、滝が流れ落ちています。この滝は、鎌倉幕府の初代侍所別当を務めた和田義盛の三男で、「朝比奈切通し」を一夜で切り開いたという伝説の剛力武士、朝比奈三郎に因んで「三郎の滝」と名付けられています。
滝を挟んで、道が二手に分かれており、滝の右手の道は「十二所果樹園」に通じる道、左手の道が、朝比奈峠(朝比奈切通し)に通じる朝比奈ハイキングコースです。

「塩の道」を行く

「塩の道」を行く

滝に向かって左手の道を進みます。この金沢街道の旧道は、かつて、「塩の道」とも呼ばれ、横浜の六浦の港から鎌倉へ、塩をはじめとする様々な物資が運ばれた重要な交易路でした。この辺りは沢沿いの湿った道で、特に雨後は滑りやすくなるので注意が必要。峠まで緩やかな上りが続きます。

峠の大切通し

峠の大切通し

しばらく登って行くと、やがて峠の大切通しが目の前に現れます。南を海、三方を山に囲まれた鎌倉は天然の要害の地でした。しかし、鎌倉が都市として発展するにつれ、それが人々の往来や物資の流通を阻害するようになります。そこで鎌倉幕府は、後に「鎌倉七口」と呼ばれる7つの切通しを開削しました。切通しとは、山の尾根を人工的に掘削した道のこと。
朝比奈切通しは、伝説では朝比奈三郎が一夜で切り開いたことになっていますが、実際は、鎌倉幕府の名執権として名高い北条泰時が、自ら陣頭指揮に当たり工事を進めました。

熊野神社への分かれ道

熊野神社への分かれ道

朝比奈峠を下ると、右手に熊野神社への分かれ道があり、小さな道標があります。
この分かれ道の先にある熊野神社は、頼朝が鎌倉の鬼門の方位に当たるこの地に、熊野三社明神を勧請したのが始まりとされ、普段は、訪れる人も稀で、境内は静寂に包まれています。

足を伸ばして

鼻欠地蔵

鼻欠地蔵

「朝比奈」バス停から六浦方面に一停留所分歩くと、「大道中学校前」バス停付近の道路脇に鎮座する磨崖仏「鼻欠地蔵」があります。
高さ4メートルのこの巨大な磨崖仏は、風化して鼻が欠けているため「鼻欠地蔵」と呼ばれます。また、かつてこの場所が相模国と武蔵国の国境であったため、「界(さかい)地蔵」とも呼ばれました。

称名寺の美しい浄土庭園

称名寺の美しい浄土庭園

朝比奈ハイキングコースの歩き仕上げに、ぜひとも訪れてほしいお寺があります。美しい浄土庭園で知られる横浜市金沢区のお寺、称名寺です。「金沢八景」駅までバスに乗り、京急電鉄で一駅先の「金沢文庫」に移動します。
称名寺の最大の見所である美しい浄土庭園は、昭和62年の復元。池にかけられた反橋・平橋を渡ることができるので、ぜひ、この世に現出した「浄土」の風情を味わってみましょう。

アクセス

モデルコース データ
徒歩区間の距離 約3.3km(「泉水橋」バス停~明王院~光触寺~朝比奈峠~鼻欠地蔵
コース所要時間 2時間~2時間半
注意点など
  • 所要時間は、あくまでも目安です。鎌倉は季節によっては大変混雑し、お店や施設に入りにくくなることもあります。
  • ハイキングコースを歩きます。歩きやすい服装、靴でお越しください。朝比奈ハイキングコースは、一部、沢沿いの滑りやすい場所を歩きます。