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梅薫る早春の鎌倉を歩く

春とは名ばかりの寒い日が続き、春風が吹くのは随分と先のことのように思えますが、木や花は人間以上に環境や季節の移ろいを知っているもの。

1月も下旬になると、早いところでは、梅がほころび始めます。梅の甘い香がすると、「ああ、もう少しで春だな」という思いますね。

梅

梅には「春告草」や「風待草」の和名があります。いずれも春の到来を告げる草の意味ですが、とても響きが美しいですね。

今回は、鎌倉の梅の美しいお寺や神社をめぐります。荏柄(えがら)天神社、瑞泉寺、東慶寺の順にまわってみたいと思います。

風情あふれる古社 荏柄天神の梅

まずは、荏柄天神社に向かいましょう。

鎌倉駅から鶴岡八幡宮の門前を通り、バス通り(金沢街道)を、大塔宮(鎌倉宮)を目指して歩いて行きます。

途中「岐れ道」という交差点から左手へ、鎌倉宮へと続くお宮通りへ入り、しばらく行くと、「天神前」というバス停があります。ここを左に進むと、荏柄天神社のお社があります。

荏柄天神社の門の梅をあしらった紋章

(写真:荏柄天神社の門の梅をあしらった紋章)
荏柄天神社は、頼朝の鎌倉入府以前から鎮座する古社で、天神様ですから、もちろんご祭神は学問の神様・菅原道真公です。

境内では、年明けて間もなくの1月25日、古筆や鉛筆を燃やし、学力の向上と文字の上達を祈願する「筆供養」という行事が行われますが、もうこの頃になると、朱色の社殿両脇の紅白の梅が、少しづつ花を開きはじめます。

荏柄天神の社殿と梅

(写真:荏柄天神の社殿と梅 2008/2/24撮影)

旧暦の1月25日は、ライバルの藤原氏に陥れられ、道真公が大宰府に左遷された日。そのとき、都の自邸の庭の梅を詠んだのが、かの有名な歌です。

東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな

歌意は、たとえ私が(都から)いなくなっても、春風が吹いたなら、どうか春を忘れずに花を咲かせておくれ、梅の花よ、というもの。

「東風」とは、東方から吹く風。本来、春の訪れを告げる風ですが、この和歌のせいか、どこか淋しさを感じさせます。

ちなみに、道真公の歌にそっくりな歌を、源頼朝の子で鎌倉幕府三代将軍・実朝が残しているのはご存じでしょうか。

隠れ銀杏

(写真:実朝を暗殺した公暁が潜んでいたとされる「隠れ銀杏」は、2010年3月の強風時に倒壊)

実朝は、「歌人将軍」といわれるほどの和歌の名手で、『金槐和歌集』 を残していますが、ご存じのとおり、鶴岡八幡宮で行われた自身の右大臣拝賀式で、甥の公暁(くぎょう)に暗殺されます。この日、出かける前に自邸で詠んだのが、次の歌です。

出でていなば 主なき宿となりぬとも 軒端の梅よ 春を忘るな

歌意は、この先たとえ主人である私がいなくなっても、軒端(のきば)に咲いている梅よ、どうか春を忘れずに花を咲かせておくれ、という、道真公の歌の本歌取りです。内容からすれば、すでに自らの死を覚悟した辞世の句です。

さて、社殿に向かって、左に目を向けると、絵筆塚が立っています。

絵筆塚

(写真:絵筆塚)

高さ三メートル二十センチの筆の形をしたオブジェで、フクちゃんで有名な漫画家、故・横山隆一さん(生前鎌倉在住)の奉納。漫画家154名が描いた、かっぱ絵のレリーフが表面に貼り付けてあります。

154枚のレリーフを見ていくと、どれも個性的。藤子・F・不二雄さんの河童姿のドラえもんのレリーフもあります。

鎌倉の花の寺、瑞泉寺へ

荏柄天神社から鎌倉宮の前を通り、右に進路をとります。

道は狭いですが、車の通りも少なく、散歩するにはとても良い道です。途中、日本画家の故・平山郁夫さんのお宅の前を通り、二階堂の奥へと入っていくと、やがて瑞泉寺にたどり着きます。

瑞泉寺は「鎌倉の花の寺」として知られ、四季折々の花を楽しむことができますが、紅葉と早春の梅の季節が一番華やかになります。

瑞泉寺の梅は、境内に入ってすぐ左手に広がる梅園と、階段を上がって本堂前に植えられています。瑞泉寺の梅の開花は遅く、2月の中旬以降になることが多いようです。

瑞泉寺の梅

(写真:瑞泉寺の梅 2008/2/24 撮影)

瑞泉寺には、京都の天龍寺や苔寺・西芳寺のお庭を作庭した夢窓疎石(夢窓国師)作庭の石庭が本堂裏手にありますので、忘れずに拝観してください。

お昼休憩 北鎌倉でいなり寿司をいただく

さて、ここから金沢街道を東の方へ足を伸ばし、十二所果樹園の梅園を見に行ってもよいのですが、今日は北鎌倉の東慶寺に行ってみようと思います。

瑞泉寺から鎌倉宮まで戻り、大塔宮バス停から鎌倉駅行きのバスに乗りましょう。鎌倉駅からお隣の北鎌倉の駅まで電車で移動したら、昼食休憩をとります。

北鎌倉の駅前に「光泉」といういなり寿司専門店があり、このお店のいなり寿司のお弁当がとても美味しいので、いただくことにします。

「光泉」のいなり寿司

(写真:「光泉」のいなり寿司)

上品な甘さのふんわりとしたお揚げと酢飯が絶妙。数を作ると手抜きになるから、毎日決まった数しか作らないという頑固さが伝統の味を守ります。特に休日は早く売切れてしまうことも多いので、お早めに。

東慶寺の梅

さて、鎌倉の梅の名所めぐり、最後は東慶寺へ向かいます。北鎌倉の駅から県道(鎌倉街道)に出て、左のほう(鎌倉方面)へ歩くと、まもなく右側に東慶寺があります。

東慶寺の梅

(写真:東慶寺の梅)

東慶寺の境内は、のどかな山里の雰囲気。江戸時代まで、尼寺だったということもあるのでしょうか。とても穏やかな気持ちになります。

東慶寺を訪れたら、境内の松ヶ岡宝蔵もご覧になるとよいでしょう。

東慶寺は江戸時代の「駆込み寺」として知られ、女性から離婚請求のできなかった封建時代、この寺に駆け込んだ多くの女性を救いました。宝蔵に収蔵される多くの離縁状など縁切関係の古文書は、「駆込み寺」の歴史を今に伝えています。

松ヶ岡宝蔵

(写真:松ヶ岡宝蔵)

そして、梅の時期には、毎年恒例となっている「東慶寺仏像展」が、境内の「松ヶ岡宝蔵」開催されているので、見逃さないように。「鎌倉の美女」とも呼ばれる、普段は、拝観に事前予約が必要な、優美な仏さま「水月観音」も、予約なしで拝観することができます。

松ヶ岡宝蔵の奥の墓地には、小説家の高見順、評論家の小林秀雄、哲学者の西田幾多郎、和辻哲郎、出光佐三(百田尚樹氏の小説『海賊とよばれた男』のモデルとなった出光興産の創業者)をはじめ、多くの文人・著名人が眠ります。

本格的な春も、もうすぐそこ。ぽかぽか陽気の一日でした。

鎌倉のそのほかの梅の名所

今日の散歩コースはこれでおしまいですが、もう2ヶ所ほど、鎌倉の梅の名所をご紹介しておきたいと思います。

宝戒寺のしだれ梅

(写真:宝戒寺のしだれ梅 2009/2/13 撮影)

1ヶ所目は、宝戒寺。鶴岡八幡宮のすぐ近くのお寺です。初秋の萩が美しいことで知られますが、しだれ梅も見事です。

常立寺のしだれ梅

(写真:常立寺のしだれ梅 2010/2/12 撮影)

もう1ヶ所は、正確にいうと鎌倉のお隣の藤沢市のお寺、常立寺です。江ノ電「江ノ島」駅、湘南モノレール「湘南江の島」駅のすぐ近く。こちらも枝垂れ梅がきれいです。

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